猪十戒の石の叫びと祈り(教憲教規等の解説と思い)

猪十戒(高槻教会信徒である安田信夫)が、日本基督教団の運営に対して、一致と前進を求めて問題指摘、提言を行うためのブログです。私が感じたことを素直に表現し、また行動します。優しい忠告など、歓迎いたします。コメントをどうぞ。

まず、教憲の制定と改定の履歴について検討します。

長い夏休みをしてしまいました。涼しくなってきたので、またがんばります。

教憲の逐条解説の最初に、前文からと準備をしてきましたがその前に、制定と改定の履歴をチェックして見ましょう。

教憲の制定・改定履歴を「先例集」などでチェックして見ましょう。

まず、教憲制定までの戦前の状況・・・これを無視する事は出来ません。

日本基督教団教憲教規制定前には、「宗教団体法」に基ずく「日本基督教団規則」の時代(いわゆる戦前の時代)がありました。宗教団体は国家の支配の下にあるという時代です。

ですから、当然に規則はその制約の下に作られていました。


宗教団体法 1940年4月1日施行)

戦争が終結して「宗教団体法」から「宗教法人令」に

宗教団体法 1945年12月28日廃止、直ちに同日、宗教法人令施行)

戦前の「宗教団体法」による締め付けの厳しい認可制から、準則主義による届出制の「宗教法人令」に変更されました。この法改正で、国家の支配から解き放たれ、宗教団体は自主的に活動が出来るようになったのです。

戦後「宗教団体法」の束縛から解放されたことを受けて、日本基督教団規則を全面改訂し、新しい日本基督教団「教憲」、「教規」、「(宗教法人令に制約される)宗教法人日本基督教団』規則」の三つにわけて制定されました。

  • 1946年10月16日 第4回教団総会で日本基督教団「教憲」「教規」制定。

   多分「宗教法人日本基督教団』規則」も同時に制定されたと思います。

  • 1948年10月28日 第5回教団総会で「教憲 第2条」を変更、この変更で教憲第2条が「使徒信条を告白し・・・・」と改正されました。

   しかし信仰告白制定に至らなかったことへの不満から会派問題が発生し機構改革委員会が「会派問題についての報告書」をまとめる。

  • 1950年10月 第6回教団総会で「会派問題についての報告書」を承認
  • 1951年初めから旧日基系一部教会の離脱があいつぎ、会派問題特別委員会は「会派問題報告書についての解説」を作成。
  • 1951年3月 常議員会は、上記の解説を承認するに当たって、付帯決議をして信仰告白制定特別委員会を設置した。

戦後の臨時措置の「宗教法人令」から「宗教法人法」の制定で準則主義に近い認証制に

宗教法人法 1951年4月3日制定・施行)

戦後すぐに施行された「宗教法人令」は準則主義による届出制をとっていたが、宗教法人の乱立の問題や、準則主義による届出制を悪用して宗教団体でないものが免税の特典を悪用するなどの問題があり、届出制を廃止し、準則主義に近い認証制を採用した「宗教法人法」が制定・施行されました。

  • 1952年 1月12日 基督教新報第2778号で「宗教法人日本基督教団○○教会』規則(準則)」を公表
  • 1952年10月26日 第7回教団総会で信仰告白文の中間報告。その後各教区などで検討。 
  • 1952年10月28日 宗教法人日本基督教団」規則 文部省認証
  • 1952年12月 2日 宗教法人日本基督教団」規則 登   記
  • 1954年10月26日 第8回教団総会で「日本基督教団 信仰告白」制定
  • 1954年10月28日 第8回教団総会で「生活綱領」決議
  • 1956年10月24日 第9回教団総会で「教憲」の前文と第1・2条変更、第3条削除、文語から口語への文体変更
  • 1956年10月26日 第9回教団総会で「教団の沿革」制定
  • 1960年10月    第11回教団総会で、「教憲改正基本方針」を承認
  • 1962年10月25日 第12回教団総会で、前記「教憲改正基本方針」に従って準備された内容をもって、第2・5・6・7・9条変更、第10条の2追加を決議

この時の改正によって現在の「教憲」が確定したと言って良いでしょう。以来40数年基本的に内容の変化はありません。ですから「先例集5」に示されている第12回教団総会議案第10号「教憲改正案」の教憲改正案解説を読むと、教憲制定・改正の意味や意図が理解できます。ぜひ同文章を熟読してほしいものです。(原文は入手できないでしょが「先例集5」の記述を参照下されば、概略は理解できます)

  • 1968年10月24日 第15回教団総会で、「教団の沿革」から「日本基督教団成立の沿革」に表題変更
  • 1994年11月17日 第29回教団総会で、第12条変更

日本基督教団信仰告白」「教憲」の制定・変更履歴から、制定の背景意志を読み取ろう!

宗教団体法」「宗教法人令」「宗教法人法」という国の法体系の変化に合わせ、また教団内の信仰の一致を維持するために、多くの検討がなされ、最終的には1962年の第12回教団総会で、現行の教憲教規の骨格がすえられた事が判ります。

それぞれの変更を決議した総会の議案書とその当時の総会議事録に記録された討議の記録をチェックすると、教憲・教規の制定の意志が読み取れると思います。

成文の「信仰告白」であり「教憲・教規」ですから、本来的にはその記述の文理解釈する事で制定の意志を確認するのが本筋ですが、変更が加えられたときの改正前と改正後の内容を対比して検討する事は、その意味を理解するために欠かせない作業です。

変更履歴をチェックする、意味の無いような作業ですが、こういう作業を丹念に繰り返す事で私の「教憲・教規」理解がだんだん固められてきます。

以降は、条文の逐条解説の中で、この改定履歴が教えてくれる意味を示してゆきます。

読者の皆さんにお願い、古い『教憲教規および諸規則』を譲ってください。

私は、このブログを書くに当たって、2004年版と2007年版の『教憲教規および諸規則』と『先例集第2版』『先例集改訂版』のみを資料として、検討・記述しています。

細かく検討するためには、1941年制定の戦前の「日本基督教団規則」から、これまでの変更・改定の記録全部に目を通す必要があります。後2年して会社を完全定年すれば、図書館を周り調査する事が出きるかもしれません、また教区事務所等に保管されている過去の教団総会の議案書・議事録の記録があればそれをチェックすれば良いのかも知れません。

しかし、今のところそれは非常に困難です。


教職の読者の皆さん、教師試験を受けられたときの古い『教憲教規および諸規則』を

もし今も使われていたら、一番新しい物と交換していただけないでしょうか。

教規の変更履歴をチェック下さって、その一番新しいものが、2002年以前になっているものでしたら、いつのものでもうれしいです。

もし1960年代、1950年代のものがあれば感謝感激です。

プロフィールの所に私のメールアドレスが公開されています。そこまでご一報下さい。

教団総会議員になられた皆さん、教団総会議案書・議事録のコピーをお願い。

個人的には、議案書全体がいただけたら望外なのですが、

教規変更にかかわる議案の部分だけでも結構です、コピーをいただけないでしょうか。

無理なお願いかもしれませんが、多くの方からのご協力を祈っております。

(羜十戒)