猪十戒の石の叫びと祈り(教憲教規等の解説と思い)

猪十戒(高槻教会信徒である安田信夫)が、日本基督教団の運営に対して、一致と前進を求めて問題指摘、提言を行うためのブログです。私が感じたことを素直に表現し、また行動します。優しい忠告など、歓迎いたします。コメントをどうぞ。

教憲前文の検討その1 「 前文とはなんだろうか!」

 日本基督教団の教憲の前文は、以下の3段落によって構成されています。そこには公同教会とは何であるか。見える教会として現存する教会の志すものは何であるか。日本基督教団がどのように成立したかが説明され宣言されています。『先例集5』によると、1962年の第12回教団総会で第3項が改定されていますが、第1項と第2項は1946年の制定当時から変更されていないと思います。*1

教憲前文の第1項 (公同教会の定義)

神は万国万民のうちからキリストに在って聖意(みこころ)に適う者等を召して、これを聖別し、恩寵(ちょう)と真理とをあらわして、聖霊による交わりに与らしめたもう。これがすなわち聖なる公同教会である。

教憲前文の第2項 (現存する教会の志すもの)

 この教会は見えない教会として存続するとともに、また見える教会として現存し、主イエス・キリストをその隅の首石(おやいし)とし、使徒と預言者との基の上に建てられ、代々(よよ)主の恩寵(ちょう)と真理とを継承して、福音を宣(の)べ伝え、聖礼典を守って、主の来りたもうことを待ち望み、その聖旨(みむね)を成しとげることを志すものである。

教憲前文の第3項 (日本基督教団成立の経緯)

 わが国における30余派の福音主義教会およびその他の伝統をもつ教会は、それぞれ分立して存在していたが、1941年(昭和16年)6月24日くすしき摂理のもとに御霊(みたま)のたまう一致によって、おのおのその歴史的特質を尊重しつつ聖なる公同教会の交わりに入るに至った。かくして成立したのが日本基督教団である。

では前文とは何でしょうか! 国語辞典で調べると

  • 法令の条文の前におかれる文章。その法令の制定趣旨、目的、基本原則などを宣言する。日本国憲法教育基本法に見られる。*2
  • 法令や規則の条項の前に置かれる文書。制定の理由・目的などを述べる。*3

となっています。

 最近の法令の傾向では法令を作成する時、その第1条に目的を配置するものが増えていますから前文が置かれる法令は多くありません。先に述べられた憲法教育基本法など、特に制定の趣旨や原則を強くあらわす必要ありとされたものに付けられるてきました。

 「日本基督教団教憲」にも同じような意味で、「聖なる公同教会」とは何なのか、日本基督教団がどのような経緯で成立したのかを明らかに宣言するために前文が付けられたと解して良いと思います。ですから、教憲や教規を解釈するときには、この前文にあらわされた経過や精神を踏まえた解釈が成されなければ成りません。


法令の文理解釈をする場合の注意事項を再度点検してみましょう。

 法令文書の文理解釈は、基本的には中学卒業程度の日本語の学力があれば誰でも出来る事です。教憲・教規は成文の規定ですから、その事は教憲・教規理解についてもあてはまります。教憲教規は特別な神学的な素養がなければと敬遠しないで下さい。国語辞典を横において挑戦してみましょう。

 注意事項も簡単です。列記してみましょう。

  • 文字や用語の意味は普通に用いられている意味に解するのが原則です。
  • 規則の中で用いられる言葉は、解釈に混乱をもたらさないように統一されています。
  • 同じ言葉は同じ意味を表し、同じように見えても異なった言葉が使われていたり、言葉に別な言葉が付加されている場合には、別の意味を意図していると理解してください。
  • 「ならびに」と「および」はどちらも二つ以上の同格のものを連結するための言葉であるが、「ならびに」の方が大きなくくりをあらわしている。
  • 「ならびに」や「および」で連結される同格の事柄も、通常は前に配置されるものが大切にされる。
  • 成分の規定や規則は、制定者にとっては、必要十分な物として制定されています。その事を素直に受け入れ、書かれていることは正しいとの前提で読み解釈しましょう。
  • また、成文の規則に書かれていないことは、素直に書かれていないとして受け入れましょう。特に、教職の方が教憲・教規を読むときに、自らの教義理解を前提に、書かれていないことを書かれえいると主張するのは間違いです。規則の解釈は、規則に書かれた言葉で判断しましょう。

 この注意事項は、これから具体的に解説をする中で、実際に即して説明してゆきます。

                       (羜十戒 & 攄十戒)

*1:これは今後の昔の規定の点検で確認の必要がありますが

*2小学館 日本国語大辞典

*3岩波書店 広辞苑第6版