猪十戒の石の叫びと祈り(教憲教規等の解説と思い)

猪十戒(高槻教会信徒である安田信夫)が、日本基督教団の運営に対して、一致と前進を求めて問題指摘、提言を行うためのブログです。私が感じたことを素直に表現し、また行動します。優しい忠告など、歓迎いたします。コメントをどうぞ。

教憲は、教団諸規則の制定に関してどのように定めてあるか!

教規・諸規則制定に関する定めは教憲第11条で定められています。

 まず、教憲第11条の条文を確認しましょう。

現在の教憲第11条

 本教憲を施行するに必要な規定は、教規によってこれを定める。

 前項の教規は教団総会において、出席議員3分の2以上の同意をもってこれを定める物とする。

1962年改定以前の文語の教憲第11条では

 本教憲を施行するに必要なる規定は教規に依り之を定む

 前項の教規は教団総会に於て出席議員三分の二以上の同意を以って之を定むるものとす

 2項から成る、簡単明瞭な規定です。読めば誰でも理解できますから、ちょっと注意すれば、間違う人は少ないと思いますが、権力におぼれると組織運営の効率を優先し、間違えてしまう事もあるのです。

第1項:教憲を施行するに必要な規定は、教規に依る。

 この第1項では、教団の教規を含めた下位の諸規則・規定の制定の根拠を宣言しています。

 現行の教憲ではひらがな表記されていますが、1962年以前の文語調の教憲の表現では依ってと漢字を使っていますから、意味の把握は容易になります。

 教規に依って定めるの表現は、教規の下位の規定(それは名前が規則・規定・規約・細則と変わっていようが)が教規に依拠して定められ事の必要をあらわしています。

 具体的に説明すると、教規の下位の規定は、上位(この場合には教規そのもの)の規定に根拠の文言を定めてある必要があるということです。そのことは現実の制定法(成文法)の世界に於ける常識と成っています。

この常識は、規則制定の有効性の形式的要件といわれます。

 ですから、ある規則が作られたとき、それが有効なものかどうかをチェックするときに、その規則制定に根拠を与えてくれる、上位の定めがあるかを確認する事がなされるわけです。教団の諸規則をチェックすると、2006年に現教団総会議長の司る常議員会で制定されたといわれている「セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する規則」と元々規則ではない2つの(準則)、宗教法人法に依って定められている『宗教法人日本基督教団」規則』以外は、教規の中に根拠規定が明記されています。

第2項:教規は教団総会で出席議員の3分の2以上の同意をもってこれを定めるものとする。

 この第2項は、教規制定の手続きを定めたものです。ここでは、教規および諸規則の制定権者は教団総会である事が宣言されています。この宣言は教規だけに適用されと誤解されている人もありますが、それは誤った理解です。

 確かに、各々の規定の中にはその条文の中で、改廃を常議員会で行うと定めてある規則があります。そういうものに日常的に接していると、常議員会が規則制定権を保持していると誤った理解におちいてしまう人がありますが、その場合には、教団総会から条文制定による権限委譲が行われ(権限が委任され)ているに過ぎないのです。本体の権限は以前教団総会が保持しています。

 この条文による委任(権限委譲)は、その規則が成立して始めて効果を発揮するわけですから、最初の制定時には教団総会における制定手続きが必要に必要な事は用意に理解できるでしょう。勿論、その最初の制定時には、教規の条文を変更してその規則に根拠を与える条文が追加されなければなりませんから、その面からも制定権者が教団総会である事が明らかになります。

この第2項による手続きを、規則制定の有効性の手続き的必要要件といいます。

 ですから、この手続きが合法的に有効になされていない規則は、その有効性を主張する事が出来ません。

 ここで、ここまで述べたのと異なるパターンで制定された規則も「教憲教規および諸規則」の中にはあります。それは、「教団事務局に関する規則(教規第51条第2項を根拠)」と「宣教研究所に関する規則(教規第52条第2項を根拠)」の二つです。この2つの規則は、その制定以前に、教団総会の付帯決議に依って、その制定が常議員会に委任されていましたから、常議員会が制定しました。

 ただその場合にも、その委任を決議する教団総会において、その規則に根拠を与える条文の追加変更が、教団総会でなされているわけです。上位からの委任があって初めて下位の機関が活動できる。当たり前のことをチャンと守りたいものです。

教憲教規を守れと声高に主張するなら、規則制定の原則ぐらいチャンと理解せよ!

 現在の教団中央は、教憲教規を守れと声高に主張しているが、自らは、教憲教規の理解が出来ていないのでは無いかと驚きます。山北議長は既に4期目に入り、6年以上も教団議長をやっておられ、内藤教団総幹事は3期も信仰職制委員会の委員長を務められていたのに、それが教憲教規違反を見逃すなんて信じられません。悲しいことです。

今日は、これくらいで   (羜十戒)