皆さんは、教団の一部の人たちの教憲教規を守れの大合唱の中で、準則第8条違反であるとの恫喝に対して、なんとなく反論は出来ないと思われているのでは有りませんか。その呪縛から解き放たれるために、「準則」とは何かを、まず日本語の意味から、次には法律の世界の用語や用法ではどうなっているのかを学ぶことからはじめましょう。
国語辞典では「準則」とはどのような意味の言葉と言っているのでしょうか?
岩波の広辞苑第6版 : ①規則にのっとること。②のっとるべき規則
三省堂の広辞林 : ①ある物事を手本として、それによりならうこと。②手本とすべき規則
講談社の日本語大辞典: ①規則にのっとること。②従うべき規則
三省堂の辞林 : 規則に従うこと。また、守るべき規則。
小学館の新選国語辞典: ①守るべき規則。②規則にのっとること。
と解説しています。
これらをまとめると次の三タイプにまとめられます。また世の中で準則として公表されているものも、同様に三つのパターンになっています。そのことは後にタイプ毎に実例を示しながら解説します。
- 守るべき規則。従うべき規則。:強制力を持った規則としての準則につながる。上位規則に従って具体的に守るべき内容を下位の規則で詳細に規定する場合などに、上位規則で「準則で定める」と宣言されて、指定された機関が定めるもの。
- 規則を守り、それに従うこと。:規則に従う姿勢や態度が要求されることが準則として表現されるタイプで、公務員など全体に奉仕すべき人たちが、その職務において守るべき職務態度・職務の用件などを、服務規程として定めるもの。
- 手本とすべき規則。:色々な団体等がその規則等を定める場合に、上位の規則で定める事項が規定され、それに合格するための例文を準則として定めるもので、教会規則(準則)はこのタイプです。このタイプの特徴は、上位規定にて定めるべき事項が明示され、作成された規定は上部機関で点検される(認証や認定など)がセットになっています。上位規定に合致しているかどうか点検する機関がありますから、例文は法的な拘束力を必要としないのです。
この3タイプについては、項を改めて、各々のタイプについて現実の法令や規則の中で、実例を示して解説します。
国語辞典ではなく、法律用語の辞典などではどうなっているのでしょうか?
実に驚くべきことに、法律用語辞典には「準則」の項目は有りませんでした。その代わり「準則主義」というのは国語辞典でも、法律用語辞典でも必ずありました。
準則主義というのは法人登記に関わる方式で、宗教法人は現在は準則主義に近い認証主義です。
広辞苑では「準則主義とは、法律に一定の要件を儲け、その用件を満たすものは官庁の許可を要せず法人を設立しうるという主義。会社はこの主義による。」と表しています。
宗教法人は戦後の数年間は準則主義であったのが、1951年の宗教法人法制定により、準則主義からその規則について文部省の認証が必要な認証主義に代わりました。この時に、それぞれの団体が認証を受けるための規則を作成するのが容易になるために作られたのが宗教法人教会規則「準則」です。
法人登記の方法には関心がないかもしれませんが、興味ある方は以下の情報を参照下さい。
ウィキペディアの法人の項を参照
実は宗教法人「日本基督教団○○教会」規則(準則)は、
宗教法人「日本基督教団○○教会」規則(準則)は、下記の文部省資料が示す戦前の宗教団体法か敗戦により廃止されそれに変わって出来た宗教法人令による法人登記の準則主義が、1951年の宗教法人法の制定により、準則主義に近い認証主義変化したときに、宗教法人法第12条の要求する条件を満たした規則を作成し文部省の認証を受けるための事務がスムーズに処理されるように例文として準備されたものです。
上記の「手本とすべき規則」のタイプの準則ですから、宗教法人法第12条に宗教法人規則に定めるべきことが決められ、また、作成登記した後文部省の認証が必要とされています。
文部省の宗教法人法制定までの歴史説明文書